PLAT295が誕生するまで

PLAT295が誕生するまで

PLAT295は、1F北側がコワーキングスペース、2F北側がシェアオフィス、1F南側がキッチン付きレンタルスペース、そして2F南側と3F、4F、5Fが居住スペースという構成になっています。

なぜ、このような形になったのか、少しご紹介したいと思います。

元々この土地には祖父母宅がありました。戦後焼け野原になったこの街で、祖母は間口二間の場所に小さな事務所を開きました。コツコツ仕事をし、隣の土地が売りに出るたびに買い、家を少しずつ広げていったのだそうです。そして、木造の2階建民家と、5階建の事務所兼自宅が建ち、そこで私の母は生まれ育ちました。時は経ち、結婚を機に私が木造の民家に引越し、家族と暮らすようになったのです。かつての間口二間の場所にウッドデッキを作り、子どもと遊ぶ庭を作りました。静かな路地の空気と、工場や店舗からの音が溢れてくる通りの雰囲気に、居心地の良さを感じる下町暮らしでした。

しかし、祖父母の高齢化と建物の老朽化は進み、色々なタイミングが重なり、建て替えをすることになったのです。

建て替えをするにあたり、これからどんな暮らしを築いていきたいか、考えてみました。まず、子育て。子どもが増え、大きくなっていく中で、楽しみながら子育てをしたい。地域でのびのびと育って欲しいなと思いました。続いて、仕事。私も自分で会社をやっているので、働きやすい自宅兼事務所が必要でした。それから、防災。地震と水害は、この街に住んでいる以上、避けては通れないでしょう。町会や祭りの活動に参加していると、「あっ、災害時はこの近所のおじちゃんたちと助け合っていくんだ」「もし家族に何かあったら、近所の方の助けが必要だ」と強く感じました。命を守るための地域での繋がりやコミュニティ。言葉では簡単ですが、暮らしの中で理解しました。最後に、下町の雰囲気。この街は今、建て替えラッシュです。収益性を考えると、マンションを建てて最上階に住む、というのが最適解ですが、やはり下町の良さは通りに面したグランドレベルにあります。1階に賑わいや人の居場所がある。昼間も働く人が通りを行き来する。そんな風景を残せる建て替えにしたいと考えたわけです。

そこで行き着いた答えが、自宅の一部をコワーキングスペースとシェアキッチンにする。個人用事務所もいいけれど、もっと地域に開かれたオフィスにしたい。いっそのこと、シェアオフィスにして色々な人と仕事できるといいのでは。自宅経営のシェアオフィスはあまり聞いたことがないけれど、すぐ近くに住んでいれば何かあった時の対応も迅速にできるので、利用者のメリットもあるはず。居住スペースには自分たちだけでなく、オフィス利用者が下町らしく、職住近接で暮らせるような住戸も作ろう。会議室には、自宅のキッチンではなかなかいれられない設備が入ったシェアキッチンを作って、食事会や料理教室など、色々な目的で使えるミーティングスペースにしよう。

というように、イメージはどんどん膨らみ、設計事務所の方の力を借りて形になっていきました。ドリームプランだけで終わらないように、利用者の方にも居心地よく使っていただけるように、今後は使い道のコンテンツを充実させていきたいと思います。今の世の中、みんなで集まって働く、ご飯を食べる、ということがなかなか難しい状況ではあります。ただそれでも、人が同じ空間で過ごす、一緒に時間を楽しむことの豊かさは失いたくありません。働き方や地域での過ごし方が変わりつつある中で、みなさんの暮らしに寄り添える場所にしていきたいと思います。